Yoga Ed. Trauma Informed Yoga for Youthより
トラウマを抱える子どもたちへのヨガ(トラウマ・インフォームド・ヨガ・エデュケーション/トラウマを熟知したヨガ教育)は、困難な状況に直面した生徒たちが自身の持つ身体的回復力を通じて自己調整力を構築することを目的としています。
様々なリソースを使うことで、生徒は衝動と合理的な思考を区別できるようになり、自分の体や感覚とつながることができるようになります。これにより、生徒は激しい感情や衝動のエネルギーを、それらに対して反応的行動を引き起こしたり、再びトラウマを抱えることなく体験することができるようになります。また、生徒が反応的ではなく意識的に行動するための間(ゆとり)を生み出します。トラウマ・インフォームド・ヨガ・エデュケーションにより、生徒は自己の内部のリソースと結びつき、自己調整力を構築することができます。生徒たちは自己調整力を使って不快感に耐え、複雑さに順応し、感情を反応から切り離すことができるようになります。
不快感に耐える
未解決のトラウマがもたらす不快感に耐えられないとき、私たちはそれから逃げたり、それを感じないようにしてしまいます。たとえば私たちは不快感から逃げる必要があると感じると、しばしば中毒性のある行動(食べ過ぎ、飲酒、喫煙、麻薬、テレビを見ること、悪い人間関係など)を取りますが、これらは最終的には多くの苦しみを引き起こします。
リソース(グラウンディング、呼吸、センタリング)を使って、不快な感覚、衝動、感情に耐えることができるとき、私たちは不快感を克服し、解放し、そこに人生の喜びや楽しみを見出すことができるようになるのです。
未解決のトラウマのために、私たちはしばしば肉体が安全な場所ではないと思い、逃げようとします。安全であることを生徒に理解してもらうのに、ただ「安全だ」と言うだけでは不十分です。彼らは自分の体が安全であると感じる必要があります。ヨガによって生徒たちに慎重かつ注意深く、身体が安全であると伝えていくことで、彼らがゆっくりと再び身体を感じ始めるのをサポートします。生徒が感覚をもっと味わい、体から緊張を解くにつれて、彼らは絶え間ない闘争、逃走、凍結の調節不全の状態から、活性化と休息の間をスムーズに移動することのできる自己調節力を取り戻します。その後、彼らは再び身体の信号を信頼し始めることができます。
ヨガで言う感情のコントロールと、感情を避けることは兄弟のようなものです。私たちはしばしば、感情をコントロールすることによって感情を回避しようとしますが、トラウマ・インフォームド・ヨガで目指すことは、感情をコントロールすることではなく、圧倒されることなく感情を完全に感じることができるようにすることで、積極的に感情を手放して乗り越えることです。
複雑さに順応する
3本の脚があるテーブルを想像してみてください。単純なシステムです。1本の足が折れたり緩んだりすると、テーブルは倒れてしまいます。20本の脚があるテーブルではどうでしょうか。20本脚のテーブルでも脚が1本緩んだり折れたりする可能性がありますが、テーブルは安定しています。もし私たちの感情システムが非常に単純で、1つのことがうまくいかないだけで、クラッシュしてしまうようであれば、私たちにはあまり回復力がないということになります。
健全な感情には微妙なニュアンスがあり、さまざまな感情が含まれています。トラウマを癒すことの一部に、私たちの感情のより微妙な複雑さを認識することがあります。私たちの多くは、たとえば、幸せまたは怒りといった1つまたは2つの極端な感情にすばやく目を向ける傾向がありますが、これらの感情の中には、多くのニュアンスと変わりやすさがあります。ヨガの練習を通して感覚、感情、衝動に慣れ始めると、私たちは自分の感情の幅を見ることができるようになります。私たちの感情には、(たとえば、怒りが起こる前には失望を感じることがあるように)ただ単に極端でしかないわけではないので、自分の内側はより幅があり安定しているのだと感じることができます。
ミラーリングも、先生の反射によって生徒が新しい方法で自分自身を見ることができるため、生徒が自分の経験の複雑さをよりよく理解して表現するのに役立ちます。
切り離し
ストレスや状況を管理するためのリソースがないままストレスの多い環境で育った生徒は、しばしば常に闘争、逃走、凍結に備えた身体状態になっています。状況に関係なく、彼らは傷つけられたり無視されたりする危険があるかのように反応します。
生徒がトラウマのエネルギーを放出するのを助けることは、生徒が自己調整のできる状態に移行するのを助けるための鍵です。トラウマ性の出来事に際して、状況をうまく切り抜けて克服するための十分なリソースがなければ、生徒たちは闘争や逃走のために使えるようにエネルギーを抑制してしまいます。その結果、エネルギーは彼らの体に閉じ込められます。リソースなしでトリガー(誘発)された場合、それが気分が悪いものであると認識し、元の(トラウマ性の)出来事で取ったように衝動的に反応してしまいます。
トラウマ性の出来事がどんなに昔に経験したものであるとしても、以前は持っていなかったリソースを備えることで、これらの反応のパターンを止め、変えることができます。そしてそのようにして、トリガー(誘発要因)とその反応を切り離すことができます。
不快感を感じながらも、私たちはリソースを使って、自分の気分を良くしてくれるもの、支えになっているものに意識的に注意を向けます。これにより、不快感や大きな感情に反応することなく、それらに耐えることができます。このような中でトリガーされた場合、リソースを使用して、反応的ではなく意識的に行動することでエネルギーを放出できます。リソースを利用しながら不快感や感情に立ち向かう能力が高いほど、身体のトラウマパターンを取り除く能力が高くなります。これは、切り離しとして知られています。
- トリガー(誘発要因)+リソースなし=反応的な行動
- トリガー+リソース=意識的な行動